はじめに
EDの一番の原因は加齢です。
しかしその一方で同じ年齢でも、まだまだ元気!という人もいます。
ここではどういう人がEDになりやすいのか、そしてEDの人が気をつけなければいけないことについてご説明します。
EDの原因
勃起とは、最終的に陰茎の海綿体に十分な量の血液が流れることで陰茎が大きくなることです。
簡単に言うと
①脳の性中枢の興奮
②脊髄から神経を通じて陰茎に刺激が伝わる
③陰茎の海綿体平滑筋が緩み陰茎への血流が増える = 勃起
という流れです。
EDはこれのどこかに問題がある場合になります。
たとえば、前立腺の手術で陰茎への神経が傷ついた場合には②の部分に問題があるためEDとなってしまいます。
ただし、より正確には勃起のメカニズムは複雑なためここで書ききれない原因もあります。
たとえば、心因性EDと言って、精神的な要因からEDになることもあります。心因性EDの代表的な例では「他の人では問題ないけれど妻にだけEDとなる」ものもあります。
ここで大切なのは、EDは最終的には血管の問題になるということです。しっかりした血管があれば十分な血液が陰茎に流れて勃起します。逆に、EDの人は血管が傷ついている可能性があります。
これについて具体的に見ていきましょう。
EDになりやすい人
極端に言えば、EDは陰茎の血管の病気とも言えます。
そして陰茎の血管は全身の血管の状態も表します。
そのため、全身の血管の状態が悪い人はEDになりやすいと言えます。
ではどんな人がEDになりやすいか具体的に見ていきましょう。
主には①年齢と②生活習慣(病)です。
年齢
年代別にみると50歳代:30.1% 60歳代:51.1% 70歳代:75.6%の方がEDです。
年齢とともにEDの方の割合が増加していることがわかりますね。
また、毎年、35歳以上の100人に3人が新たにEDになるという報告もされています。このことからも、加齢はEDになる一番の原因ということがわかります。
生活習慣(病)
次は、生活習慣(病)についてです。
EDを誘発しやすい生活習慣(病)をまとめました。
生活習慣(病) | EDになりやすさ |
---|---|
糖尿病 | 2倍 |
高血圧 | 1.7倍 |
肥満・運動不足 | 1.7倍 |
喫煙 | 1.5倍 |
糖尿病
糖尿病糖尿病の人は、普通の人よりも10~15年早くEDになります。
また、糖尿病の人は糖尿病でない人よりも2倍EDになりやすいです。
高血圧
高血圧の人は、そうでない人に比べて1.74倍EDになるリスクが高いです。
肥満・運動不足
BMIが30以上の人は、23以下の人に比べて1.7倍EDになりやすいです。
(BMIとは
体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値です。
例:身長 175cm, 体重 75kg
BMI = 75 / (1.75 * 1.75 ) = 24.5
BMI18.5~25が標準)
運動不足の場合でも、EDのリスクは高まります。
定期的に運動をしている人がEDの確率は、運動していない人に比べて約半分です。
喫煙
喫煙者のEDの割合は、非喫煙者の約1.5倍です。
また、1日に吸うタバコの本数や喫煙歴もEDと関係があります。
1日あたりの喫煙本数が10本ごとに1.14倍、喫煙歴では10年ごとに1.15倍リスクが増加します。
うつ
また、うつは生活習慣病とは違いますが、EDのリスクとなります。
うつの症状を持っている人は、そうでない人に比べて1.82倍EDになりやすいです。
そして、生活習慣病は複数の病気を持っている場合が少なくありません。
たとえば、糖尿病と高血圧があり運動不足もあるという方の場合は非常にEDになりやすくなってしまいます。
EDが心配な方はまずは生活を見直してみましょう。
EDの人が気をつけなければいけないこと
ここまで「全身の血管の状態が悪い」場合には「EDのリスクが高い」ということを説明してきました。
逆に「ED」であれば「全身の血管の状態が悪い」可能性があるとも言えます。
そのため、EDの方で健康診断をしばらく受けていない方は一度健康診断を受診することをおすすめします。
また、糖尿病や高血圧は全身の血管が悪くなる原因ですが、EDの方は実際に、全身の血管が悪くなった結果といえます。
そして全身の血管でもっとも大切なのは心臓の血管です。
EDの人は、EDではない人よりも1.47倍心臓の血管の病気を持っている可能性が高いです。
余談ですが、かつてバイアグラは心臓に悪いという噂がありました。
しかし、実際はバイアグラを飲むようなEDの人はもともと心臓病を持っている人が多いということがわかりました。
そして、性行為は心臓に負担をかけるため、性行為中に心臓発作が起きることがあったのです。
まとめ
- EDは極論すると血管の病気
- EDになりやすい人は血管が傷つきやすい人
- 具体的には、糖尿病、高血圧など生活習慣病
- 逆にEDの人は血管にダメージがある可能性がある
【参考文献】
Diabetes Care 2018 Jul; 41(7): 1516-1525.Uro-Lo 2018 vol.23 no.04 99-103
糖尿病と血管 Vol9. No.12004-5 29-32