はじめに
バイアグラでもっとも多い副作用は頭痛です。
その割合は12%と約8人に1人がバイアグラの内服で頭痛を経験すると言われています。
ただし頭痛があっても、ほとんどは軽度でありバイアグラの持続時間である5時間を過ぎれば治ります。
しかし、なかに性行為の際に頭痛が気になるという方もいるでしょう。
そんな方のために、バイアグラで頭が痛くなる原因、どのようにして頭痛に対応するのかをご説明します。
基本的にはバイアグラについてご説明しますが、多くの点で他のED治療薬(レビトラ、シアリス)も同様です。
なぜバイアグラを飲むと頭が痛くなるのか
そもそも、バイアグラはペニスに流れる血液の量を増やす=血管を広げることで勃起を促すという効果を発揮します。
基本的にバイアグラで頭痛などの副作用が起きる原因としては、バイアグラの血管を広げる作用がペニス以外の顔などの血管も広げるからと思っていただいて構いません。
ここからは非常に専門的な話になるので、興味のない方は次の「バイアグラで頭痛がしたときの対処法」をお読みください。
バイアグラは(他のED治療薬も)PDE5阻害薬という薬です。
これは、PDE(ホスホジエステラーゼ)という酵素の働きを阻害する作用です。
このPDEというのは細胞が指令を送るcGMPという物質を分解します。
勃起を促す効果は、ペニスにあるこのPDEの5番目、つまりPDE5がcGMPを分解する作用を阻害することで、血管を広げることで生じます。
しかし、PDE5阻害薬という名前ですが、実際にはPDE5以外のPDEも多少阻害するのです。
頭痛に関していうと、PDEの11番目つまりPDE11を阻害することで生じます。PDE11を阻害してしまうことで、頭の血管が広がり頭痛が生じます。
バイアグラで頭痛がしたときの対処法
バイアグラを内服して頭痛が出たときには4つの対処法があります。
- 放置する
- 他のED治療薬に変更する
- バイアグラの用量を減らす
- 鎮痛薬を併用する
順番にみていきましょう。
頭痛の対処法:放置する
なぜ頭痛がするかでご説明しましたが、この頭痛はなにか悪いことの予兆などではありません。
そのため、頭痛が軽くて少し違和感程度であれば、放置するというのも一つの方法です。
実際に、バイアグラを飲まれている方に副作用を確認すると「少し頭痛がしますが、別に大丈夫です」と言われる方が多いです。
頭痛の対処法:他のED治療薬に変更する
ED治療薬にはバイアグラ、レビトラ、シアリスの3種類があります。
そして、それぞれ人によって相性があります。
これまでバイアグラしか飲んだことがないという方はぜひ一度レビトラやシアリスを試してみてください。
バイアグラでは頭痛がしたけれど、シアリスでは副作用が出なかったという方も少なくありません。
頭痛の対処法:バイアグラの用量を減らす
バイアグラは用量を増やすとともに効果・副作用とも増えます。
日本ではバイアグラは25mgと50mgの2種類が使用されています。
一般的には50mgが標準量として使われますが、65歳以上の方・肝障害・重度の腎障害がある方は25mgから開始するように推奨されています。
そのため50mgで頭痛が出て使いづらいという方は、効果も少し弱まる可能性はありますが一度25mgで試してみることをおすすめします。
すでに手元に50mgがあるという方でもカッターなどで半分に割っていただくことで25mgとして使用できます。
鎮痛薬を併用する
ED治療薬はバイアグラがもっとも相性がよくて、25mgでは効果が弱いという方には鎮痛薬の併用をおすすめします。
風邪のときに生じるような一般的な頭痛と同じで痛み止め(鎮痛薬)が有効です。
市販の鎮痛薬であれば、どれでも構いません。
一例としてロキソニンなどがよく使われます。
ちなみに市販のロキソニンはこれ以外にも効果なものもありますが、主な有効成分であるロキソプロフェン
ナトリウム水和物はどれも変わりません。そのため、特にこだわりがなければこちらで構いません)
ロキソニンも内服してから効果が出るまで30分ほどかかりますので、バイアグラとロキソニンを同時に内服するのがいいです。
ただしあまりにロキソニンを頻回に飲んでいると今度はロキソニンの副作用で胃潰瘍のリスクがあります。
そのため、あまり薬を増やすよりも、他のED治療薬に変更することや用量の変更を先に試すことをおすすめします。
まとめ
バイアグラの副作用として頭痛は一番多いです。
ただし、ほとんどの場合は軽微でありそれほど気になりません。
どうしても気になる場合の対処法としては
- 他のED治療薬に変更する
- バイアグラを50mgから25mgに減らす
- 鎮痛薬(ロキソニンなど)を併用する
があります。
正しい知識を身につけて上手に医療と付き合っていきましょう。
【参考文献】
Can Urol Assoc J. 2014 May-Jun; 8(5-6): E378–E380.